睡眠コラム
運動と睡眠の“正のサイクル”を取り入れよう
「よく体を動かした日は、普段よりぐっすり眠れた」、「よく眠れなかった夜の翌日は、頭も体もぼんやりして、いまいち力が発揮できなかった」そんな経験を持つ方は多いのではないでしょうか。運動と睡眠は、お互いに深い影響力を持っています。
①適度な運動が睡眠の質を高める
睡眠の質を高めるには、自律神経の活動モード「交感神経」と休息モード「副交感神経」がスムーズに交代できる生活習慣を持つことが大切です。朝にしっかりと目覚め、日中に適度に身体を動かせば、夜に休息を取るリズムを自然と作りやすくなり、交感神経と副交感神経がうまく切り替わります。
ある研究調査によると、運動習慣のある人は無い人に比べて睡眠時間が長く、成長ホルモンの分泌が活発になる「徐波睡眠」(=深いノンレム睡眠)が多い上、睡眠中の中途覚醒も少なく安定していることが分かっています。
身体を動かすことは不安を軽減させ、気分を改善するという精神面での効用もあります。過剰なほどの激しい運動は、身体的ストレスによってかえって睡眠の質を低下させると言われていますが、適度な運動は日々の眠りを深めてくれるのです。
②良質な睡眠が運動能力を高める
適度な運動が睡眠の質を高める一方で、良質な睡眠は「成長ホルモン」をはじめとする様々なホルモンのバランスを整え、身体の疲労回復と運動能力UPにも大きな役割を果たします。
スタンフォード大学が同大学バスケットボール部の選手たちを対象に行った研究では、長時間睡眠の習慣化によって、走るスピードやシュート率など、被験者の運動能力が総じて向上したとの実験結果が発表されました。
十分な睡眠によって身体のパフォーマンスが高まるのは、もちろんアスリートに限った話ではなく、一般の人々も本質的には同じです。私のクリニックでも、二週間ほど睡眠時間を1〜2時間長くしただけで、集中力や体力など様々な面でプラスの変化を感じる方が圧倒的に多いのです。
以上のように、適度な運動は眠りの質を高め、その快眠が翌日の身体能力を上げる──つまり、運動と睡眠は“正のサイクル”を持っています。日中の適度かつ習慣的な運動を楽しみながら、良質な睡眠で脳と体をしっかり休ませることをぜひ意識してみてください。