睡眠コラム
まだ寒さが続く2月のホットなイベントといえば、バレンタインデー。
新しい年を迎える準備なども落ち着き、大切な人や気になる人とのコミュニケーションについて、ゆっくり考えをめぐらすには、よいタイミングかしれません。
私たちの究極のコミュニケーションのひとつとも言える“恋愛”──そのあり方には、脳と密接に関わる“眠り”が大きな影響を与えているという説があります。
今回は、脳科学者の黒川伊保子先生に、恋愛と脳と睡眠の密接な関係について伺いました。
心身を活性化し、恋愛力を上げる眠りのチカラ
長年にわたり、人工知能のエンジニアとして脳の研究に携わってきた中でも、私が特に注目しているコトのひとつが“睡眠”です。眠りは脳の成長と活性化に欠かせない要素であり、私たちの心身、そして人生に大きな影響を及ぼします。
男女の脳に関わる“恋愛”についても、それは同じ。
脳と密接に関わる睡眠は、良い恋愛サイクルへ導く強い影響力を持っていると言えるでしょう。
快眠は様々な“脳力”を引き出す
眠りは単に疲れをリセットするだけでなく、より洗練された脳神経回路をつくる役割を担っています。脳を成長・活性化させるためには、良質な睡眠が欠かせません。記憶力や学ぶ力といった「知力」、つかみの良さや発想力、危険察知能力といった「直感力」、相手の感情を推し量り、発信する「コミュニケーション力」など、恋愛にも影響する様々な“脳力”を引き出してくれるのが快眠なのです。
快眠は“人間の美しさ”をつくる
眠りは、男性・女性共に脳を健やかに育むと同時に、肉体を修復・再生・成長させる役割を持ちます。ぐっすり眠っている間に分泌される「成長ホルモン」や「メラトニン」などのホルモンは新陳代謝を促し、美容の面でも大きな役割を果たします。
快眠によって得られるアンチエイジング効果は、美しい肌や髪、輝く瞳を保ち、太りにくい体をつくるので、良い恋愛サイクルへ導く強い味方になるでしょう。
上質な睡眠によって洗練し続ける脳は劣化しにくく、その脳の持ち主は見た目もイキイキとして若いもの。恋愛力を上げたいのなら、ぜひ“眠りのチカラ”を味方につけてみてください。
脳とことばをめぐる恋愛講座
私は脳科学の見地から「ことばが脳にもたらす気分」や「男女脳の気分」を読み解く語感分析・男女脳論の専門家でもあります。男女の脳に深く関わる恋愛には、ことばの影響力や脳の性差を意識すべしというのが私の持論です。
ことばで脳にポジティブ回路をつくる
過去の失敗をいつまでも思い返し、まだしてもいない未来の失敗を案じて思いわずらうと、脳はネガティブ思考の回路を強く太くしてしまいます。脳にポジティブ回路をつくるには、ことば選びが大切。「でも・だって・どうせ」といったマイナスワードはなるべく避けましょう。
オススメは「ありがとう・いいわね・うれしい・ええ・おいしい」の「美人の日本語あいうえお」。喜びや快感を言葉にして脳にフィードバックすることで、ネガティブ回路を駆逐してくれます。
男女の脳の違いを意識する
異性の恋人に対して、どうしてこんなに私の気持ちを分かってくれないのだろうと思ったことはありませんか?
男女の脳は、哺乳類としての長い歴史の中で異なる役割を担って発達してきたため、回路のかたちと信号特性が違う、いわば“異なる装置”なのです。違う装置なのだから、同じ出力は期待できないと分かれば、異性の何気ない言動に傷つくこともなくなりますね。
相手にかけることばを見直してみる
脳に違いがあれば、相手に刺さる褒め言葉も変わってきます。男性の心をつかむ褒め言葉「さしすせそ」は、「さすが・知らなかった・すごい・センスいいですね・そうなんですか」。これらは「一番になりたい・成果を認められたい」という男性には効果的です。
一方、女性脳に響くキラーワードは「お前だけだ」「きみしかいない」。そう、男女で嬉しく感じる褒め言葉は違うのです。男心をしびれさせようと思ったら「ナンバーワン」であることを称え、女心に深く響かせようと思ったら「オンリーワン」であることを伝えましょう。
大切な人や気になる人に会う前には、意識的に眠りの質を高め、脳とことばを意識したコミュニケーションで、想いを伝えてみてはいかがでしょう。